DIA 2025 Global Annual Meeting に製薬協メンバーが参加 ドラッグラグ・ロス問題への取り組みについて、世界に発信
【冒頭の説明】
2025年6月18日、米国ワシントンD.Cで開催されたDIA 2025 Global Annual Meeting (以下DIA-2025)において、製薬協/国立がん研究センター/PMDAが共同でセッションを開催しました。会場には数十人の聴衆を集め、会場からの質問もあり、熱気ある会となりました。
【DIAとは】
DIA(Drug Information Association)は医療用製品の研究開発、ライフサイクルマネジメントにおけるイノベーションの実現をサポートするために教育活動および規制当局・企業・アカデミア・患者との間の立場を超えた情報交換やディスカッションの場を提供するグローバルな非営利団体です。DIA-2025には世界57の国と地域から4000人が参加し、臨床試験や薬事の課題を中心に活発な議論を行いました。

【開催の背景】
ドラッグラグ・ロスの原因(特にロス)として、米欧のEmerging BioPharma(EBP)が創出し承認を取得する医薬品が増加してきたことが挙げられています。従って、ドラッグラグ・ロスの解消のためには、日本市場の魅力を米欧のEBPに伝え、日本への投資意欲を惹起する必要がありました。
製薬協では委員会横断的にタスクフォースを編成し、国やアカデミアと連携して治験の推進、薬事・薬価制度の改善に取り組んできました。これまでも国内では学会や患者団体に向けての発信活動を行ってきましたが、今回、国外への発信が実現しました。
【セッションテーマ】
Why Does Drug Loss Occur?
Challenges to be Addressed for Patients, and Japan’s Contribution to Globalized Drug Development
座長:佐野俊治さん(医薬品評価委員会)
2023年3月に86製品が欧米では発売済みであるにもかかわらず、日本では開発未着手であり、その多くがEBPの製品であったことを受け、日本では産学官が連携してドラッグロスの解消に取り組んでいること共有しました。

説明者:小林(産業政策委員会)
ドラッグロスに対し、日本政府が製薬産業を”key industry”に位置付けて取り組んでいること、日本に参入したEBPの意見をもとに産官が連携して日本市場の環境を改善している実態について報告しました。


【説明2】Unlocking Japan’s Clinical Trial Landscape - Investigator’s Perspective
説明者:中村健一先生(国立がんセンター中央病院))
まず日本の医薬品市場への正しい理解を求めたうえで、国立がんセンターの組織や治験実績を示しました。また、アジアでの治験情報連携の取り組み、センターでの治験ワンストップ相談窓口の開設について説明しました。


【パネルディスカッション】
座長/説明者2名/パネリスト:石黒昭博所長(PMDAワシントンD.C.事務所)

【Closing Remarks by Chair】
佐野座長が「日本市場の魅力と臨床環境の変化」「国際共同治験のワンストップ相談窓口設置による活性化」「PMDAワシントンD.C.事務所における相談機能の活用」が重要なポイントであるとまとめました。

【終わりに】
DIA-2025での発表は、ドラッグラグ・ロス対策に向けて製薬協自ら企画してグローバルに発表した初めての取り組みとなりました。複数の委員会が共同して会を盛り上げることができました。演者の先生方をはじめ、協力いただいた方々に御礼申し上げます。
ドラッグラグ・ロスは今後も起こりうる問題であり、日本の患者さんの不利益につながることから、タスクフォースとしては、引き続き対外発信を行ってまいります。
報告: 産業政策委員会 ドラッグラグ・ロス タスクフォース 小林信教